Vetus Testamentum in arte occidentali
旧約聖書
初期キリスト教から20世紀まで、西洋美術は旧約聖書の物語を繰り返し描いてきました。描かれた物語は、天地創造と楽園追放に始まり、出エジプト、士師と王たちの時代、預言者たち、そしてユディトやスザンナのような外典の女性たちにまで及びます。
- 制作年・所蔵は一般的な通説によります。厳密な典拠が必要な場合は各リンク先で確認してください。
- 章節番号は新共同訳・聖書協会共同訳の区分に従っています。外典(第二正典)はカトリック・正教会では正典、プロテスタントでは外典です。
第一部 創世記:天地創造から族長たちへGenesis
天地創造、楽園追放、洪水、バベル、アブラハムからヨセフに至る族長物語。人類の起源と契約の物語は、システィーナ礼拝堂の天井からブリューゲル、レンブラント、シャガールまで、旧約主題の中心を占めます。
- 天地創造7点
光と闇の分離、日月の創造、水と陸の分離。
- アダムの創造、エバの創造6点
指と指が触れ合う直前を捉えた《アダムの創造》は西洋美術で最も引用される図像の一つ。
- アダムとエバ:原罪と楽園追放13点
蛇の誘惑、禁断の果実、剣を持つ天使による追放。
- カインとアベル6点
最初の殺人。
- ノアと大洪水、ノアの泥酔8点
箱舟、洪水、鳩とオリーブ、虹の契約、そして酔って裸で眠る父を息子たちが覆う場面。
- バベルの塔4点
人間の傲慢の塔。
- アブラハム:三人の天使、メルキゼデク、ハガルとイシュマエル6点
マムレの樫の木で三人の客をもてなすアブラハム(三位一体の予型)、パンと葡萄酒を捧げる祭司王メルキゼデク(聖餐の予型)、荒野に追放される女奴隷ハガルと息子。
- イサクの犠牲7点
息子を捧げよという神の命令と、天使による制止。
- ロトとその娘たち、ソドムの滅亡5点
振り返って塩の柱になる妻、洞窟で父を酔わせる娘たち。
- イサクとリベカ、井戸のリベカ3点
井戸で水を汲む娘を嫁に選ぶ僕エリエゼルの物語。
- ヤコブ:祝福の横取り、天使との格闘、梯子の夢、ラケル10点
盲目のイサクを欺いて長子の祝福を得るヤコブ、天に届く梯子の夢、ヤボクの渡しでの天使との格闘。
- ヨセフ:兄弟の裏切り、ポティファルの妻、エジプトでの再会7点
血に染めた晴れ着、誘惑を拒む若者、夢解き、兄弟との再会、ヤコブによる孫の祝福。
第二部 出エジプトとモーセ、約束の地Exodus
ナイルからの救出、燃える柴、十の災い、紅海の奇跡、律法、金の子牛、荒野のマナ、青銅の蛇。教皇や君主が自らを「新しいモーセ」に重ねたため、大規模な壁画連作が多く残ります。
- モーセの発見(ナイルの救出)4点
葦の籠の赤子をファラオの娘が見出す場面。
- 燃える柴、モーセの試練4点
燃えても燃え尽きない柴からの召命。
- 十の災い、過越、紅海の渡渉6点
エジプトを襲う災厄と、海が割れて民が渡り、追手が呑まれる奇跡。
- 律法の授与、モーセ像、石板を砕くモーセ6点
シナイ山で十戒を受け、輝く顔(ウルガタ訳の誤読から「角」)で降りるモーセ。
- 金の子牛の礼拝3点
モーセ不在の間に偶像を拝む民。
- 荒野のマナ、岩から水、青銅の蛇6点
天からのマナ(聖体の予型)、岩を打つモーセ(洗礼の予型)、見上げれば救われる青銅の蛇(十字架の予型)。
- モーセの死、ヨシュアとエリコ4点
約束の地を望みつつ死ぬモーセ、角笛でエリコの城壁を崩し、太陽を止めるヨシュア。
第三部 士師記とルツ記Iudices
サムソンとデリラ、ヤエル、エフタの娘、そして落穂を拾うルツ。異教の女に敗れる英雄、あるいは異邦の女の忠節。力と誘惑、犠牲と献身の物語です。
- サムソン:獅子、デリラ、失明、神殿の崩壊10点
髪を切られて力を失う怪力の士師。
- ヤエルとシセラ、デボラ、ギデオン4点
敵将の頭に杭を打ち込む女ヤエル。
- エフタの娘3点
戦勝の誓いのために、出迎えた一人娘を犠牲にする父。
- ルツとボアズ4点
異邦の寡婦ルツが姑ナオミに従い、ボアズの畑で落穂を拾い、ダビデの曾祖母となる。
第四部 サムエル記・列王記:サウル、ダビデ、ソロモン、預言者たちReges
羊飼いから王へ。ゴリアテに勝つ少年ダビデはフィレンツェ共和国の象徴となり、バテシバへの欲望とその代償は17世紀の画家に人間の弱さの主題を与えました。ソロモンの裁きと知恵、エリヤの奇跡が続きます。
- サムエル、サウルとダビデの竪琴、エンドルの魔女4点
神の声に目覚める少年サムエル、憂鬱のサウルを竪琴で慰めるダビデ、死者サムエルの霊を呼び出すエンドルの魔女。
- ダビデとゴリアテ9点
投石器で巨人を倒す少年。
- ダビデとバテシバ8点
屋上から水浴する人妻を見初め、夫ウリヤを戦死させる王。
- ダビデとアビガイル、ヨナタン、アブサロム4点
贈り物で王の怒りを鎮めるアビガイル、友情のヨナタン、髪が木に絡まって殺される反逆の息子アブサロム。
- ソロモンの裁き5点
二人の母が争う赤子を剣で分けよと命じる王の知恵。
- シバの女王、ソロモンの神殿、偶像崇拝6点
知恵を試しに訪れる南の女王。
- エリヤとエリシャ6点
烏に養われ、荒野で天使に起こされ、火の戦車で天に上る預言者エリヤ。
第五部 預言者とバビロン捕囚:イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル、ヨナ、ヨブProphetae
エルサレム陥落を嘆くエレミヤ、獅子の穴のダニエル、壁の文字に怯えるベルシャザル、大魚に呑まれるヨナ、そして苦難を問うヨブ。ミケランジェロは天井に七人の預言者を巨人として座らせました。
- 預言者像(イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル、ヨナ、ゼカリヤ、ヨエル)7点
システィーナ礼拝堂天井の預言者たちは、思索・霊感・恍惚の精神状態を人体で表現した頂点。
- エレミヤとエルサレムの陥落4点
燃えるエルサレムを背に嘆く預言者。
- ダニエル:獅子の穴、ベルシャザルの饗宴、ネブカドネザル6点
獅子の穴で祈るダニエル(ルーベンス)、壁に現れた文字に慄く王(レンブラント、ジョン・マーティン)、獣のように四つ足で草を食む王(ブレイク)。
- ヨナと大魚5点
三日三晩魚の腹にいて吐き出される預言者はキリストの復活の予型。
- ヨブ6点
財産と子と健康を奪われ、妻に罵られ、友に責められる義人。
第六部 外典・第二正典と歴史書の女性たち:ユディト、スザンナ、エステル、トビトDeuterocanonici
敵将の首を斬るユディト、長老に覗かれるスザンナ、王の前で気絶するエステル、天使に導かれるトビアス。「英雄的な女」と「貞節と欲望」の主題は、バロック絵画で最も繰り返された旧約図像です。
- ユディトとホロフェルネス14点
寡婦がアッシリアの将軍を酔わせて首を斬り、民を救う。
- スザンナと長老たち10点
水浴中に二人の長老に脅される貞女と、ダニエルの裁き。
- エステルとアハシュエロス、ハマン8点
ユダヤの娘が王妃となり、民を滅ぼす陰謀を暴く。
- トビトとトビアス、大天使ラファエル6点
盲目の父のために旅する息子と、同行する天使ラファエル、魚の肝で癒される父。
- マカバイの反乱と殉教3点
ヘレニズム王朝への反乱と七人兄弟の殉教。
第七部 初期キリスト教・中世の旧約図像Vetus Testamentum in arte medievali
旧約は「新約の予型」として読まれ、写本、扉、ステンドグラス、祭壇に体系的に配置されました。現存する最古の旧約物語画は、3世紀のドゥラ・エウロポスのシナゴーグ壁画です。
- 写本・モザイク・彫刻の旧約連作9点
ドゥラ・エウロポスのシナゴーグ壁画は現存最古の旧約物語画。
第八部 近現代の旧約:ブレイク、マーティン、ドレ、ティソ、シャガールAetas nova
ブレイクの幻視、ジョン・マーティンの崇高、ドレの挿絵、ティソの考古学的写実、そしてシャガールの「聖書のメッセージ」。旧約は個人の信仰と民族の記憶の表現になりました。
- 19–20世紀の旧約連作7点
19世紀から20世紀にかけて、画家たちは旧約を大きな連作に描きました。