Mythologia Graeca in arte occidentali
ギリシア神話
古代ギリシア・ローマから20世紀まで、西洋美術はギリシア神話を繰り返し描いてきました。オリュンポスの神々の恋と争い、英雄たちの冒険、オウィディウス『変身物語』の変身譚、怪物たちとの戦いが、時代ごとに新しい姿で描き直されています。
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第一部 神々の物語Di deaeque
オリュンポスの神々の誕生・恋・争い。ヴィーナス(アフロディテ)と、ゼウス(ユピテル)の変身譚は、ルネサンス以降の裸体表現を正当化する主題として最も多く描かれました。
- ヴィーナスの誕生・化粧・眠り11点
海の泡から生まれたアフロディテ。
- ヴィーナスとマルス、ヴルカヌスの鍛冶場5点
夫ヴルカヌス(ヘパイストス)を裏切る美神と軍神の密通、その発覚。
- ヴィーナスとアドニス3点
狩りに出ようとする恋人アドニスを引き止めるヴィーナス。
- クピド(アモル)とプシュケ7点
魂(プシュケ)と愛(エロス)の物語。
- ダナエ(ゼウスの黄金の雨)5点
塔に幽閉された王女に、ゼウスが黄金の雨となって降り注ぐ。
- レダと白鳥6点
白鳥に変身したゼウスとスパルタ王妃レダ。
- エウロペの略奪5点
白い牡牛に化けたゼウスがフェニキアの王女を背に乗せ海を渡る。
- ガニュメデスの略奪4点
鷲に化けたゼウスに攫われ、神々の酌人となる美少年。
- イオ・カリスト・セメレ・アンティオペ(ゼウスの恋人たち)6点
雲となってイオを抱くゼウス、アルテミスに変身してカリストを欺くゼウス、雷光の本性を現しセメレを焼き殺すゼウス。
- ヘラ(ユノ)と天の川の起源2点
幼いヘラクレスに乳を与えたヘラの乳が飛び散り天の川になったという星座譚。
- アテナ(ミネルヴァ)5点
知恵と戦の女神。
- アポロン:ダフネ、マルシュアス、ピュトン、パルナッソス12点
月桂樹に変身するダフネ、皮を剥がれるマルシュアス、大蛇ピュトンの退治、そしてミューズを率いる詩神としてのパルナッソス山。
- アルテミス(ディアナ):アクタイオン、エンデュミオン、水浴8点
水浴を覗いたアクタイオンを鹿に変えて猟犬に食わせる処女神。
- ディオニュソス(バッカス):アリアドネ、バッカナール、酔えるシレノス14点
ナクソス島に捨てられたアリアドネを救う酒神、酒宴(バッカナール)、酔いどれの養父シレノス。
- ヘルメス(メルクリウス):アルゴス殺し、ヘルセ5点
百の目を持つ番人アルゴスを笛で眠らせて斬る神々の使者。
- ペルセフォネ(プロセルピナ)の略奪と帰還5点
冥王ハデスに攫われる娘と、四季の起源となる母デメテルの悲嘆。
- ポセイドン(ネプトゥヌス)とアンフィトリテ、海の凱旋5点
三叉の矛を持つ海神と妃アンフィトリテ、トリトンやネレイスたちの海の凱旋行列。
- 冥界:ハデス、カロン、ステュクス川3点
渡し守カロンが死者を運ぶステュクス川。
- クロノス(サトゥルヌス)、ティタン、ギガントマキア4点
我が子を呑むクロノス、神々と巨人族の戦い。
- プロメテウス5点
火を盗んで人間に与え、鷲に肝臓を啄まれ続ける罰を受けるティタン。
- パンドラ4点
神々が作った最初の女性と、災いの箱(本来は甕)。
- フローラ、春、黄金時代、ウェルトゥムヌスとポモナ7点
西風ゼピュロスに触れられ花の女神となるクロリス(フローラ)、労苦なき黄金時代、果樹園の女神ポモナに老婆に化けて言い寄る季節神ウェルトゥムヌス。
- 三美神、ミューズ、ニンフ8点
与える・受ける・返すを象徴する三美神は、古代彫刻の型を継いでルネサンスから新古典主義まで裸婦群像の規範になりました。
- パン、サテュロス、牧歌の世界6点
葦笛シュリンクスに変わるニンフを追う牧神パン、眠るサテュロス。
第二部 英雄譚Heroes
ヘラクレス、ペルセウス、テセウス、オデュッセウス、そしてトロイア戦争。武勇と苦難の物語は、君主の徳や国家の理想を託す公的な図像として重用されました。
- ヘラクレス:十二の功業、選択、オンファレ、ネッソス13点
獅子・ヒュドラ・アンタイオスとの格闘、美徳と快楽の岐路に立つ「ヘラクレスの選択」、女王オンファレの下での女装、妻デイアネイラを攫うケンタウロス・ネッソス。
- ペルセウス:メドゥーサ、アンドロメダ11点
鏡の盾でゴルゴンの首を取り、海の怪物からアンドロメダを救う英雄。
- テセウス:ミノタウロス、アリアドネ8点
迷宮の牛頭人身の怪物を倒し、糸を授けたアリアドネを島に捨てる英雄。
- イアソン、アルゴナウタイ、メデイア7点
金羊毛を求める航海と、裏切られ我が子を殺す魔女メデイア。
- オデュッセウス(ユリシーズ):キュクロプス、キルケ、セイレーン、カリュプソ、ペネロペ10点
帰郷までの10年の遍歴。
- アキレウスとトロイア戦争16点
母テティスの祈願、女装して隠れるアキレウスの発見、アガメムノンとの不和、ヘクトルの死とアンドロマケの嘆き、木馬とラオコオン。
- パリスの審判6点
三女神(ヘラ・アテナ・アフロディテ)の美を裁くトロイアの王子。
- トロイア陥落後:アイネイアスの逃亡3点
父アンキセスを背負い息子を連れて燃えるトロイアを脱出するアイネイアス。
- オルフェウスとエウリュディケ9点
冥界から妻を連れ戻す途中で振り返ってしまう詩人と、後にマイナスたちに八つ裂きにされる死。
- ダイダロスとイカロス6点
蝋の翼で太陽に近づき墜ちる少年。
- パエトンの墜落3点
太陽神の戦車を御しきれず、ゼウスの雷に撃たれて墜ちる息子。
- オイディプスとスフィンクス5点
謎を解いて怪物を退けるが、父殺しと母との結婚の運命から逃れられない王。
第三部 恋と変身の物語(オウィディウス)Metamorphoses
オウィディウス『変身物語』は、近世の画家にとって最大の図像の源でした。水面の自分に恋したナルキッソスは水仙に、織りの腕で女神アテナに挑んだアラクネは蜘蛛に姿を変えます。
- ナルキッソスとエコー6点
水面の自分に恋して死ぬ美少年と、声だけになるニンフ。
- ピュグマリオンとガラテア6点
自作の彫像に恋し、ヴィーナスの恩寵で像が生身の女性になる彫刻家。
- ヒュアキントス、キュパリッソス(アポロンの恋)3点
円盤で誤って殺してしまう美少年ヒュアキントス、愛鹿を殺して糸杉に変わるキュパリッソス。
- ケパロスとプロクリス、アウロラ4点
暁の女神アウロラ(エオス)に愛される狩人ケパロスと、嫉妬から夫に誤射される妻プロクリス。
- ガラテア、ポリュペモス、アキス5点
海のニンフ・ガラテアに恋する一つ目の巨人ポリュペモスと、殺される恋人アキス。
- ピュラモスとティスベ3点
壁越しに愛を語り、誤解から相次いで自死する恋人たち(『ロミオとジュリエット』の原型)。
- ヘロとレアンドロス3点
ヘレスポントス海峡を毎夜泳いで恋人に会いに行き、嵐の夜に溺れる青年と、後を追う巫女。
- アタランテ、ヒッポメネス、メレアグロス3点
黄金の林檎に気を取られて競走に敗れる俊足の乙女と、カリュドンの猪狩り。
- ヘルマプロディトス、サルマキス3点
泉のニンフ・サルマキスと融合して両性具有となる美少年。
- 傲慢への罰:アラクネ、ニオベ、ミダス4点
織りでアテナに挑み蜘蛛に変えられるアラクネ、子沢山を誇って全員を射殺されるニオベ、触れるものすべてを黄金に変えるミダス。
- 冥界の罰:シシュポス、タンタロス、イクシオン、ティテュオス、ダナイデス6点
永遠に岩を押し上げるシシュポス、車輪に縛られるイクシオン、肝臓を啄まれるティテュオス、底なしの甕に水を注ぐダナイデス。
第四部 怪物と異形Monstra
ケンタウロス、アマゾネス、セイレーン、スフィンクス、キマイラ。人間の理性と獣性の境界を描く図像は、古代の神殿装飾から象徴主義まで通底しています。
- ケンタウロスとラピテース族の戦い、ネッソス、ケイロン7点
ペイリトオスの婚礼で乱暴を働く半人半馬とギリシア人の戦い(ケンタウロマキア)は、パルテノンのメトープ以来「文明対野蛮」の寓意。
- アマゾネス5点
女戦士の部族とギリシア人の戦い(アマゾノマキア)。
- セイレーン、スフィンクス、キマイラ、ゴルゴン6点
歌で船乗りを誘う海の魔女(ウォーターハウス以降は人魚として)、獅子と山羊と蛇の合成獣キマイラ、蛇髪のゴルゴン。
第五部 古代の原典:ギリシア・ローマ美術Antiqua
ルネサンス以降の画家が模範とした古代彫刻・陶器・壁画。神話図像の「型」の多くはここで決まり、発掘のたびに近世の解釈が更新されました。
- 古代彫刻の名品(神話主題)8点
ローマの発掘とヴァチカンのベルヴェデーレ中庭への収集が、ルネサンス美術の直接の教科書になりました。
- 古代の陶器画・壁画5点
黒像式・赤像式の陶器は、文学に残らない神話の場面も伝えます。
第六部 近現代の再解釈Aetas nova
象徴主義以降、神話は無意識・欲望・暴力、そして芸術家自身を語る語彙になりました。
- 象徴主義・世紀末5点
モロー、ベックリン、クリムト、ルドン、シュトゥックらは、神話をエロスと死の寓意として再読しました。
- 20世紀:シュルレアリスム、形而上絵画、ピカソ以降7点
デ・キリコのアリアドネ、ピカソのミノタウロス、ダリのナルキッソス、マティスのイカロス、ベーコンのオレステイア、トゥオンブリーのイリオン。